ループする記憶の旋律：アニメから学ぶ脳の働きと整体│長岡京市の自律神経整体院

先日、熱を出して数日寝込んだのですが、その時に子供の頃に見たアニメの主題歌が頭の中で延々とループしていました。なお、その曲はヤットデタママンOPです。

 

子供の頃に熱心に見ていたアニメですから、それなりに懐かしくはあります。
だからといって、５０歳を越えたこのタイミングで唐突に思い出して数日間もループするほど思い入れのある曲というわけではありません。むしろ、ほとんど忘れていたというのが実際で、案外、覚えているものなのだなと我ながら関心をしていました。

 

それで、なぜこのようなループが起こるのかということについて、整体師の視点からまとめてみたいと思います。もしかしたら、これから述べる記憶についての理解ができると、人生の様々なことについても応用がきくかもしれません。

 

人間の記憶は神経細胞であるニューロンとそのニューロンを繋ぐシナプスで構成されると考えられています。
人間の神経細胞の数は１０００億個あるといわれていますが、その数が頭の良さに深く関わるのではなく、シナプスの結合数が多いことが重要だと考えられています。勉強をするということはシナプスの数を増やしてニューロンの結合をより複雑にしてゆくということなのです。

 

ちなみに、このことを知っていると、３ヶ月で英語がペラペラになるとか、苦手だった科目が短期間で飛躍的に向上する、１％の努力で９９％の成果を上げるといった謳い文句のノウハウの大半がまがいものであるということも理解できることでしょう。シナプスというのは長い時間をかけて形成してゆくものなのです。

 

シナプスは、植物の根を想像してもらうとイメージしやすいでしょう。
植物が水を吸い上げて、日を浴びて少しずつ根を拡げていくように、シナプスも少しずつ増加してその複雑さを増していくものです。テストの前日に一夜漬けで覚えたことなど、終わった瞬間に全て忘れてしまったという経験は誰にでもあるのではないでしょうか。このようなことはシナプスが十分に育っていないため、記憶が定着していないから起こるのです。

 

シナプスが多い人ほど、アイデアが豊富で頭が良い傾向があります。
現在、目の前に起きている問題に対して過去の経験からどのような対処をするのが適切か、シナプスが多いほど頭の中で様々なシミュレーションを行うことができるからです。

 

わかりにくいかもしれないので、簡単なモデルで説明してみましょう。
ニューロンは記憶を納めておく箱、シナプスはその箱を繋ぐ回線だと考えるとよいでしょう。ＡとＢ２つの箱があってその中に、カメラと電話という記憶が収納されていると考えてみてください。この２つの箱が回線で繋がったときに、携帯電話にカメラの機能を持たせるというアイデアが生まれました。今では携帯端末にカメラ機能がついているのは当たり前だと感じるかもしれませんが、開発された当時はとても衝撃的なものでした。このアイデアは瞬く間に世界に広まり、すでに当たり前のものになっています。

 

ちなみに、携帯電話がそれほど普及していなかった頃の海外旅行でデジカメを持っていったのですが、その時出会った現地の外国人に、

 

「日本人は必ずカメラを持っていると聞いていたけど本当だったのだな。」

 

と笑われたことを思い出します。
これは、その頃の外国人には写真撮影する文化があまり浸透していなかったということを意味しています。今では、映える写真を撮影してＳＮＳにアップするという行動は世界中の人が行っているのですから、携帯電話とカメラを繋ぐアイデアがいかに画期的だったかがわかるのではないでしょうか。

 

さて、脳の働きがどういうものかを説明してみます。
脳は、記憶の入ったニューロンをシナプスで繋げて価値や意味のあるものを生み出せないかを常に試行錯誤をしています。だから、頭の良い人は数多くの知識をニューロンに収納しているだけではなく、その収納した知識を他の知識と組み合わせるという作業を効率的にやっているのです。もちろん大半の組み合わせは価値がありませんから、９９％以上のシナプスの接続は大した意味はないかもしれません。しかし、

 

「天才とは１％の才能と９９％の努力」

 

なんていう言葉がとても的を得たものだということがわかるのではないでしょうか。

 

それで、このような脳の試行錯誤の働きは体が健全であれば、適切に働くのであろうと思われます。
ところが、風邪をひいている状態だと、うまく試行錯誤ができなくなることがあるのです。つまり、ある特定のニューロンに思考が偏ってしまって、他のニューロンを活用できなくなるのです。

 

私が最初に述べた

 

「アニメソングが頭の中で延々と数日間も鳴り続ける。」

 

が起こる理由はおそらくこれでしょう。

もちろん、このようなことは風邪だけでなく、体に何らかの問題があることでも起こり得ます。

もしかしたら、臨機応変な対応のできない、頑固な人はニューロンに収まっている情報の量が少ないだけということもあるかもしれません。しかし、体になんらかの問題があって脳の働きが偏っている可能性が高いのです。その場合、首の骨になんらかの問題がある可能性が高いということは整体師の立場から指摘することができます。実際、頸椎に生じている問題を整体で解消することによって考え方が柔軟になるという変化は何度も見てきています。ですから、様々なことを勉強しているはずなのにそれをうまく活かせないのだということであれば、体または首になんらかの問題があるのかもしれないと考えてみることで人生が大きくかわることもあるかもしれません。