整体師の日記：困難なケースとの向き合い方│長岡京市の自律神経整体院

この記事では、私の整体師としての経験と、特定の患者との対話を通じて気づいた自身の信念と対応のあり方について考えてみたいと思います。

 

私はしばしば誤りを犯す整体師かもしれません。
理由は、十分な共感を示せない相手がいるからです。体に不調を感じて整体に来られているのですから、できる限りその手助けをするという姿勢で望んでいます。しかし、先日、ある方に対して上手に接することができませんでした。

 

流れを簡単に説明すると、通い始めて１ヶ月ほど経過したのですが、

 

「首を鍛える鍛錬をはじめました。」

 

と突然言い出したのです。
この方はめまいで相談にこられていてその原因が頸椎にあることはわかっていました。それで２～３回整体を受けて体の様子が変わってきたなと思った矢先でこの発言でした。はっきりと言ってしまうと、この時点で、

 

「何、余計なことしとんねん。」

 

と思っていました。

わざわざ時間を作って、安くもない整体指導料を支払っているのに、それをすべて無に帰すような行動をしているのですから苦情を言いたくなってしまうのは仕方がないと思っていただけるでしょうか。

 

一応、こういう時にどのような対応をすればよいか知っています。だから、

 

「なんでまた、首を鍛えようと思ったのですか？」

 

と質問しました。
すると、

 

「めまいは首が弱いのが原因だと考えたので、鍛えればよいと判断しました。」

 

あながち的外れではないのでさらに困ります。
ただ、素人が首の筋肉を鍛えて頸椎の異常を正すというのはほぼ不可能なことだというのが私の考えです。理由はいくつもありますが、プロレスラーが昔言っていた

 

「首は鍛えるのが最も難しい部位だ。」

 

というセリフを紹介しておきましょう。
話を聞いていると、どうも首の力が弱いので頭が固定できない、そのためにめまいが起こっているのだと考えたようです。勘違いもここまでいくと逆に清々しいといってよいかもしれませんが、それだけにどのように説明をすれば理解して納得できるかがまったく思いつきませんでした。

 

その後も、さらに首を鍛えることについてもう少し話をしていたのですが、

 

「この人はもう無理だ。」

 

と思ってしまったのでしょう。

私は、少しきつめの口調で、

 

「最後に言っておきますが、首を鍛えるのは辞めた方がいいですね。」

 

と言って話を終わらせてしまいました。

今、振り返って考えてみるのですが、建設的な話し合いができていたとは思えません。
元々、私のことをあまり信頼していない、はっきり言ってしまうと舐めているという態度を示していたので、この人の相手はしたくないと感じていたのでしょう。

 

おそらく優秀な方だったのだろうと思います。
たいていの問題は自分自身の力量で解決してきていたのでしょう。年齢は私より少し上という感じでもありましたし、私のような整体師風情に何かを言われてもそれを素直に受け止める必要を感じないという態度を示していたように思えます。

 

私の立場からすると、私は必ず成果をあげなければいけない立場です。
それはお金を頂いて整体をしているからです。ですから、時間と費用をかけているのにそれらすべてを無に帰してしまうような行為を行っていると聞いて、私は強く反発してしまったのでしょう。

 

この仕事をはじめてもう２０年も継続してきています。
逆説的にいうと、成果をあげていなければ２０年も続けてくることは不可能だっただろうと思います。もちろん全ての人の健康問題を解決できたわけではありませんが、それでも２０年続けてこれたのにはそれなりの自信も自負を持っています。

 

体の問題を解決してから、患者が健康を取り戻し、私の存在を忘れることが理想です。
そう考えて整体することで２０年やってこれたと言い切ってよいでしょう。書いていて気がつきましたが、私のそういうあり方を否定するような態度だと感じたのかもしれません。そうでなければ、このようなきつい物言いをすることなどありませんし、このようなコミュニケーションに陥ったことなど他の方では全くといってほどありません。

 

実は、整体で体調の整わない人の半分ぐらいはこのような方です。
体を整体するときには、信頼関係を築くことがとても大切です。ただ、私自身にはそのつもりがあっても相手にその意思がないのであればどうしようもありません。

 

今後、何か改める必要があるのかと考えていたら本を一つ見つけました。

 

動機付け面接　ウィリアム・ミラー　ステファン・ロルニック著

 

この本には、意見が対立する人とどのように接するのがよいかということについての研究の内容が書かれているそうです。ただ、上下巻あって２冊揃えると９０００円近くの値段になります。読みたい本が山になっているのですが、その山をさらに高くするかどうかちょっと悩むところです。